標準で組み込まれたclipboard.jsを使ってみた

説明

5.2の新機能「サイトヘルス情報」では、現状のサイト情報をクリップボードにコピーする機能がある。この機能の実装方法を調べてみると、clipboard.jsが利用されていた。

サイト情報のコピー機能

まずは「サイトヘルス情報」ページを開いて、サイト情報のコピー機能がどのように実装されているのか調べていく。この機能としては「サイト情報をクリップボードにコピー」ボタンがクリックされると、サイト情報がクリップボードにコピーせれる仕組みである。

サイト情報をクリップボードにコピーしたところ

このボタン部分をブラウザの開発者向け機能で確認すると、data-clipboard-text属性にサイト情報が丸ごと入っていることがわかる。

<button type="button" class="button copy-button" data-clipboard-text="`
### wp-core ###

version: 5.2
site_language: ja
user_language: ja

(省略)

`">
<span class="success" aria-hidden="true">コピーしました。</span>

これに対し、/wp-admin/js/site-health.jsを覗いてJavaScript側がどのようになっているかを確認。次は関連する部分を抜粋したものとなる。

var clipboard = new ClipboardJS( '.site-health-copy-buttons .copy-button' );

clipboard.on( 'success', function( e ) {
	var $wrapper = $( e.trigger ).closest( 'div' );
	$( '.success', $wrapper ).addClass( 'visible' );

	wp.a11y.speak( __( 'Site information has been added to your clipboard.' ) );
} );

ClipboardJSクラスのインスタンスを生成し、'success'イベントでspan要素に対して操作している。肝となるクリップボードに対してテキストをコピーする部分はまったく見えない仕様のようだ。続いて、ClipboardJSクラスが定義されているファイルを調べると、/wp-includes/js/clipboard.jsが見つかった。

このclipboard.jsは、/wp-includes/script-loader.phpにて次のように登録されている。

$scripts->add( 'clipboard', "/wp-includes/js/clipboard$suffix.js", array(), false, 1 );

(省略)

$scripts->add( 'site-health', "/wp-admin/js/site-health$suffix.js", array( 'clipboard', 'jquery', 'wp-util', 'wp-a11y', 'wp-i18n' ), false, 1 );

clipboard.jsのハンドル名は'clipboard'として、site-health.jsはこの'clipboard'に依存する指定でハンドル名'site-health'として登録されている。

実際に使ってみた

実際にプラグインで使う場合はまず wp_enqueue_script関数を使用する。

if ( wp_script_is( 'clipboard', 'registered' ) ) {
	wp_enqueue_script( 'clipboard' );
}

HTML側はクリップボードにコピーする内容が決まっている場合は次のような感じになる。クリック対象の要素は、サイトヘルス機能のようにbutton要素でもよいが、その他の要素でも問題はなく、ここではspan要素を使っている。

<span class="dashicons dashicons-clipboard" data-clipboard-text="コピーする内容をここに!"></span>

クリップボードにコピーした際に表示を変更するようなことをしないのであればコードは1行でよい。

const clipboard = new ClipboardJS( '.dashicons-clipboard' );

応用例

HTMLを出力する際にコピーする内容が決まっていない場合は、data-clipboard-text属性ではなく、data-clipboard-target属性を使用すればよい。

<textarea id="memo"></textarea>

<span class="dashicons dashicons-clipboard" data-clipboard-target="#memo"></span>

この例であれば、クリック時にtextarea#memoの入力内容がクリップボードにコピーすることができる。

以上のように、clipboard.js(ClipboardJSクラス)はシンプルなコーディングでクリップボードのコピー機能を実装できる。Zeno Rochaさん、ありがとう。


最終更新 : 2019年05月15日 12:59



お勧め

Emojin:プラグイン作ってみました(2015年3月21日 更新)

ちょっと前のTLでiOSの絵文字を含んだ投稿を保存すると、絵文字以降の文章がすべて消えた状態で保存されるといったツイートを見かけた。少し検索してみると、MySQLのデータベースの文字セットが「utf8」の場合、iOSの絵文字のような4バイトの文字を正常に保存できず、それ以降の文章も保存されないというものらしい。対処方法としてデータベースの文字セットを「utf8mb4」に変更するのが有効らしいのだが、他に回避策がないか考えてみた。

Twenty Seventeenのフォントサイズを変更してみた(2021年12月15日 更新)

先日投稿した「続テーマを変更せずにWebフォントを使ってみた」では、テーマ「Twenty Seventeen」でもWebフォントを使えるようにした。その際、「Twenty Seventeen」のフォントサイズが少し小さく感じたので、今回はフォントサイズを調整してみた。

HTML entities button:プラグイン作ってみました(2021年4月28日 更新)

以前投稿した「HTML編集モードに定型文ボタンを追加する」をアレンジして、HTML編集モードに特殊文字(HTMLエンティティ)を挿入できるボタン、顔文字を挿入できるボタン、過去の投稿ページのリンクを挿入できるボタンを追加するプラグインを作ってみました。HTML編集モードの作業効率を向上させるプラグインです。2.1.0では「Dashiconsの挿入」を追加しました。HTML編集モードをメインに使用されている方は、お試しあれ。

5.7の機能拡張:エクスポートファイルに更新日時が追加ほか(2021年2月23日 更新)

WordPressはサイト移行を支援する機能として投稿情報のエクスポート機能を備えている。5.7ではこのエクスポート機能が改良され、更新日時情報が追加されるようだ。

query_posts(WP_Queryクラス)でカスタムフィールドを使う(2011年9月15日 更新)

先週3回にわたってtax_queryパラメータを使ったカテゴリーや投稿タグ、投稿フォーマットの絞り込みを整理したが、その途中で目に付いたのが'meta_query'パラメータ。この'meta_query'パラメータは、カスタムフィールドの絞り込み条件を指定するためのもので、3.2で登場した新しいパラメータのようだ。